元々捨て子であり、クレスト教団の者に拾われそこで育てられた。名前も教団側でつけられたものであるため、本来の名前は知らない。
実際に聖印を手にしていなかったため、教団から教わったことをただの知識として覚えていく。
自衛の手段として剣や槍と一通り試したが、一番ましだったのが弓だったために一応の技術として身に着けていく。
呑み込みがいい方であり、勉学も弓の技量も上達は早かったが本人はただ教えられた通りにしただけであり、あまり実感も感動もなかった。
その結果、取り敢えず言われた通りにしておけばいいという考えになっていた。
聖印を手に入れてからもそれは変わらず、基本的には言われた通りにその力を使った。
ただし、クレスト教団の教えから聖印をどのような時に使うべきかというのは理解していたため、悪事に利用されるということはなかった。
その後、教団側が繋がりをつくっておきたいという企みからある君主の元に送り出されて、言われるがままにその君主の娘と結婚した。
しかし、性格がそうそう改善されることもなく人の上に立つのには不向きであり、結婚前も後もずっと一兵士として戦うことが多かった。
ある時、蓄えた知識を使い開発中のものにアドバイスをしたら上手くいき、それが戦争で成果を上げるが、そのことに関しては特になんとも思わなかった。
だが、この時に「技量があっても、実力があっても特に心は動かない…では強さとはなんなのだろう？私は何のために強くなったのだろう？」と疑問に思うようになった。
自分のため？妻のため？国のため？と考えたがどれもしっくりくるものはなかった。
君主には妻がなり、後継となる者も生まれ、国も安定してきてあまり必要とならなくなったのを契機に“強さとはなんなのか”を知るために見聞を広げようと旅に出た。
その為、色んな人に「強さとは何か？力があれば何がしたいか？」という風な問いを投げかけている。